絶えない口論

 

 

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「いい加減にしろ!」
今日、ラディスロウの会議室から、もの凄い声が地上軍拠点中に響き渡った。
情報部も例外ではなく、将校のイクティノスが来るまで様々な情報を整理していたところだったが、その大声で一旦作業の手が止まった。
「おいおい・・・あれってディムロス中将の声じゃないか?」
「ああ。何かすごい事件が起きたのでは・・・」
「昨日何かあったか? そういえば・・・あ、いや・・・あの話かも・・・」
と、その大声の理由を探りはじめているあたり(しかもかなり生々しく)、さすが情報部といったところか。
「・・・まあいい。早めに仕事を終えないと、後で少将に怒られるぞ。」
「確かに。それに・・・今会議中だろ? 少将から聞き出せば分かるだろうさ。」
とか言いつつも、やっぱりさっきの大声が気になるのか、作業の手はかなり遅くなっていた。

しかし、彼らの予想をこえることが、その会議室では起こっていた。



それは、今日の早朝の会議が終わりを迎える頃におこった。
「・・・ディムロス・・・中将。貴方風邪でもひいているんじゃないかしら?」
「はあ?」
アトワイトが、ディムロスの顔を見てそのまま近付いて額に手を当てた。
もちろん、その様子を会議室中の全員が注目した。心配していると言うより、むしろ「ディムロスが風邪を引くわけがないのに」と囁いていることから、好奇心から注目していることが伺える。
「やっぱりね・・・少なくとも38度はあるわよ。」
「そうか?」
「そうかって・・・気がつかなかったの? 熱があるのよ?」
唯一心配そうな顔をしているアトワイトが、今ひとつ自分の状況を理解していないディムロスに問い詰めたが、ディムロスは自分の額に手を当てた後、腕を組んで首をかしげた。
「至って平気だが・・・」
「馬鹿は風邪をひかないって言いますからね。」
会議資料を見ながら、イクティノスが何気なく言った。すると、まるで辺りが凍りついたように、ディムロスについて囁いていた声がピタリと止まる。
しかし、それは一瞬で、すぐに何事もなかったかのように会話が続いた。

(・・・今さっき、イクティノスさんが何か言ったけど・・・みんな聞こえなかったのかな? いや、それとも聞こえなかったフリをしているのかな? だったら、僕も何も聞かなかったことにした方がいいのだろうか・・・どうしよう。)
これは、シャルティエの心の声である。彼はちらっと左隣のイクティノスを見たが、イクティノスも何事もなかったかのように資料に目を通している。
しかし、その後何となく逆の隣にいるディムロスの方を見ると、何事もなかったように出来ないことを悟ってしまったという・・・
「でぃ・・・ディムロス中将?」
「シャルティエ、そこをどけ。」
「は、はいっ・・・」
いつも以上に眉間にしわを寄せている上に、目が何となく怖いディムロス。そのただならぬ様子に、シャルティエは足を震えさせながら一歩下がった。
(どーしよう・・・ディムロスさん目がマジだあ・・・)
心の中で「イクティノスさん逃げてください!」と叫んだが、当然聞こえるわけもなく。ディムロスがイクティノスの肩を掴んで、無理矢理振り向かせるのを黙って見ているしかなかった。

「何です?」
ディムロスの目が本気であっても、全く動じた様子もなく、イクティノスが尋ねた。
「さっきの言葉・・・どういう意味だ。」
「どういうって、そのままの意味でしょう?」
「さっき私はアトワイトに『風邪をひいたんじゃないか』と言われた。それなのに、何故『馬鹿は風邪をひかない』になる?」
ディムロスのすぐ近くにいるシャルティエからすれば十分怖い口調だったが、まだ理性は働いているのか食ってかかるぐらいの怖さではない。
しかし、イクティノスの次の一言で、ディムロスが本当にキレた。
「・・・・・・やっぱり馬鹿だ。」
「何だとっ!?」
「はいはーい、あたしが代わりに説明してあげるから。」
ハロルドが口を挟んだ事で、何とか話を聞く体勢に戻ったディムロスを見て、そのハロルドを差し向けたカーレルは一安心したが・・・
「その言葉の意味はね、『馬鹿は風邪をひいても気がつかないから風邪をひかないことになる』よ。分かった?」
「・・・ハロルド・・・」
本当のことを言うなよ・・・と、カーレルがハロルドの服の裾をひいたが、言ってしまったものは仕方がない。そしてディムロスの方に視線を戻すと、案の定ディムロスはイクティノスを真っ直ぐにらみ付けている。
「本当のことでしょう? まあ、現実にそんな人がいるとは思いませんでしたけど・・・ね。」
「お前と言う奴は・・・いつもいつも・・・」
腕をワナワナと震えさせているのをシャルティエが確認したかと思ったところで、ディムロスの怒りは頂点に達し、例の叫び声をあげたのである。

「大体お前はいつもそうだ! 人のことを馬鹿にするだけして、実際戦闘にもなれば、守ってやらないと簡単に死ぬくせに!」
ディムロスが、殆ど勢いに任せて叫んだ。会議室内のどこぞから、「あーあ・・・」という声が漏れた。
「あ、あの・・・イクティノスさん?」
まだ二人の喧嘩の渦中に近い場所にいるシャルティエが無謀にも、黙り込んだイクティノスの顔を覗き込もうとした。
しかし、覗き込む前にシャルティエは前よりもさらに一歩遠くへひいた。今まで見たことがないくらい、イクティノスが怖いと感じたからだ。
「・・・言いましたね・・・」
イクティノスが顔をあげるのと同時に、「パァンッ!」と強く叩く音がディムロスの身体に直撃した。
「くっ・・・」
全員、イクティノスがディムロスを平手で叩いたのだろうと思ったが、イクティノスの右手には見覚えのない教鞭のようなものが握られていた。
「いつも敵陣に突っ込んでばかりの貴方に、守られた覚えなど一切ありません! 勘違いも甚だしい。」
「お、お前という奴は・・・ところで何だ、その武器は・・・体が・・・」
「護身用の教鞭ですよ。ちなみに、ベルセリウム製で麻痺効果のスロット付きなので、実用性としても抜群です。ちょうど良いですし、そのまま医務室で一日休むことですね。」
『・・・・・・・・・。』
とんでもないものを携帯しているイクティノスに、麻痺したディムロス以外も全員固まってしまう。
「あ、リトラー司令。私はそろそろ情報部へ行かせていただきますので。」
と、固まっている会議室を放置したまま、出て行ってしまった。

「あ、あの・・・ディムロス中将・・・無事ですか?」
手持ちのパナシーアボトルをディムロスに差し出して、声を震えさせながらディムロスに話し掛けるシャルティエ。
ディムロスはそれを乱暴に取って使用した後、そのまま会議室を出て行こうとした。
「あいつ・・・絶対に許さん・・・!」
(ああ・・・ディムロスさんまだ怒っているし・・・! 大体、よりにもよってなんでこの二人の間に僕の席があるの!? この会議室!)
ディムロスの後ろで、密かにシャルティエは涙を流している。しかし、出て行こうとするディムロスの前にアトワイトが立った。
「あのね、ところでディムロス・・・あなたは熱があるのだから医務室で休みなさい!」
「君は黙っていてくれ。」
と、アトワイトの言葉にさえも聞く耳をもたず、そのままアトワイトを振りほどいて、外へ行ってしまった。

「・・・ディムロス・・・これだからあなたは馬鹿呼ばわりされるのよ・・・」
「今晩、僕・・・無事に寝られるかな・・・」
と、床に座り込んで嘆くアトワイトとシャルティエ。そして、同時に座り込んだリトラー司令。
「司令、大丈夫ですか?」
「以前もあの二人が大喧嘩したことがあった・・・。」
駆け寄ってきたカーレルに、突然リトラーは話し始めた。何となく目が虚ろなのは、カーレルの気のせいではないだろう。
「五年程前だったか。あの時は・・・見事にある建物を倒壊させたよ・・・当人達は始末書を書くときまで喧嘩していたがな。」
「まさか。あれからさすがに大人になったでしょう、両方とも。」
「でも・・・あの時既に、ディムロスもイクティノスも貴方より年上だったのよ?」
頭を抱えて、カーレルの言葉をアトワイトが否定した。
「まったく、いい歳して子供よね~」
「・・・ハロルドにだけは言われたくないと思うけど・・・」
さっきから、アトワイトはもはや突っ込むことしかできなくなっている。その横で「よしよし」とアトワイトの頭をなでながらクレメンテが言った。
「しかし困ったのう。皆をまとめる立場の二人が喧嘩が原因で始末書でも書いた日には、士気が下がり兼ねん。」
「ああ、上層部があれでは兵も不安がる・・・何とかして仲直りしてもらわなければ・・・」
とリトラー司令は決心したが、一番不安なのは当然リトラー本人で、立ち上がることすらままならなかった。
それさえも楽しそうに見ながら、ハロルドが自信たっぷりに言った。
「大丈夫よ~♪ だって、イクティノスがキレたら怖いって、ディムロスが誰よりもよく知ってるし? 大体ディムロスだって自分に勝ち目がないことくらい、分かってるって。風邪については論外、アレがぶっ倒れるワケないじゃん?」
「そのハロルドの自信・・・すごく分けてもらいたいわ・・・」
言っている事は確かに正論だし、自分もそうは思うのだが、それでも立ち上がることもできないアトワイトだった。



場所は戻って情報部本部。
「多分、またハロルド大佐あたりがワガママを言ったんだろう。」
「意外にアトワイト大佐との痴話喧嘩だったりして・・・」
「まさか。あのディムロス中将が? あの人は直情的だがそんなので怒鳴ったりはしない、大人な人だろ?」
と、勝手にディムロスの大声の理由を分析している有様。ちなみに、決定的に間違った認識をしているが、彼らにとってディムロスはそういう人である。
そこに、やっと将校であるイクティノスが来た。
「・・・何を話している。言われた仕事はこなしての上か?」
「いえ・・・先ほどのディムロス中将の怒鳴り声が気になってしまって・・・」
と、正直に出来ていないことを報告する部下達。
それに対して、相変わらずのポーカーフェイスに戻って部下と接していたイクティノスだったが、ディムロスの名前が出た瞬間、顔つきが一変した。
「ディムロス・・・?」
「は、はい・・・実際何が起き・・・たので・・・しょう・・・か・・・」
ただならぬイクティノスの周りの空気から、部下の質問の声がどんどん小さくなっていった。
「ディムロスなんてどうでもいい! さっさと仕事をしなさいっ!!」
「は、はいっっっ!!!」

すごすごと持ち場に戻る部下達は、机に向かうイクティノスと目が合わない程度に目で追いながらこそこそと話した。
「・・・機嫌悪いな・・・今日の少将・・・」
「会議室で何かあったんだろうか・・・?」
「もしかして、ディムロス中将の怒鳴り声と関係があるのでは・・・」
「そこ! 私語は慎め!! 特に、今日会議室で起きたことについて詮索した者は、情報部にいられなくなると思いなさい!」
「・・・はい・・・」
(絶対ディムロス中将と何かあったんだよ・・・)
と心の中で誰もが思ったが、今までにないくらいに機嫌の悪いこの上司に、これ以上詮索できるような真似は誰一人無理だった。
(せめて・・・せめて一日中何もおこりませんように・・・)
多分無理だろうな・・・と思いつつも、情報部本部の一日の平和を全員が願った。


しかし、その兵士達の願いはたったの十分でもろく消え去ろうとしていた。
今日の情報部の話のネタであった本人、つまりディムロスが情報部に来たのである。
「ど、どうかされましたか中将・・・」
「君達に用はない。用があるのは・・・」
そこまで言って、ディムロスが視線を仕事中のイクティノスに向けた。
「イクティノス。」
ディムロスは近付きながら呼び止めたが、イクティノスは全く反応を示さない。
「さっきはよくもやってくれたな・・・だが、用件はそれではない。」
ディムロスが机の目の前に来たからか、別の用件があるというのに反応したのか、やっとイクティノスが顔をあげた。
「何ですか?」
(ああ・・・さようなら俺達の平和・・・)
イクティノスの部下達は、その一触即発な雰囲気から資料などをまとめあげて、非常口(つまり入り口)を確保していた。

そんなことは露知らずの当人達は、視線を合わせてそのまま黙っていたが、少ししてディムロスが沈黙を破った。
「やはりまだ怒っているようだな・・・済まなかった、それを言いに来ただけだ。」
「・・・? どういう風の吹き回しです?」
ここにいる情報部兵士誰一人も予想していなかったディムロスの言葉に、一番驚いているのは当然イクティノス本人である。戸惑いながらも、椅子から立ち上がってディムロスに向かって一気にまくし立てた。
「あの後アトワイト大佐とも喧嘩したのですか? リトラー司令に命令でもされました? それとも、カーレル中将の引き金でハロルドに改造でもされそうになったのか?」
「・・・そう斜めに考えるなよ・・・。ただ、外で頭を冷やして分かったんだ。そもそも私が風邪なのに会議に出たことに問題があったのだろう?」
かなり反省した感じでディムロスが言っているので、密かに逃げようとしていた兵士達は、ほっと胸をなでおろした。

しかし、イクティノスは髪をかきあげながら、「ふう・・・」とため息をついた。
「貴方、私が何に対して怒っているか忘れていませんか・・・?」
「・・・は?」
「トリ頭・・・か・・・」
「?」
イクティノスがぽつりと言った独り言を聞き取ったものも、その意味が分からずにその場で考え込むディムロス。
その後ろで、兵士の一人が隣の兵士にこそこそと話しかけた。
「トリ頭ってアレだろ? 三歩歩けば全部忘れるって奴・・・」
「おい! 折角話がいい方向へ行きかけてるのに、余計なことを言うな。聞こえたらどうするんだ?」
しかし、今日のディムロスは異様に耳が良いのか、その兵士達のこそこそ話まできっちり聞こえてしまったようだ。
湧き上がってくる怒りを押さえながら、イクティノスを見下ろした。
「・・・そういう意味か・・・この毒舌。」
「ふん・・・否定したければ、私が何に対して腹を立てているか、当ててみることですね。」
「それは私が逆上して、お前のことを弱いと言ったからだろう?」
「・・・・・・。」
絶対に覚えていない確信があってのハッタリだったのか、即座に答えられてさすがのイクティノスも焦りを隠せず、一瞬黙ってしまったが、机の前のディムロスの横まで回りこみながら、次の言葉を考えて言った。
「・・・だったら・・・貴方が風邪で会議に出たことなんてどうでもいいでしょう? 第一自分の風邪に気がついてもいなかったくせに。」
「気がつかなかったのは認めるが、お前は会議室を出る前に言っただろう? 休んでろ、とな。」
「・・・もしかして、私が貴方を心配して言ったとでも思っているのですか?」
「そう思っておくことにした。お前が何と言おうとも、だ。」
「そ、それなら大人しく休んでいればいいでしょう!」
その様子をうかがっていた兵士達は、何となくディムロス優勢に進んでいるこの状況に、ひそひそと声を立て始めた。
「あの少将が言葉で押されている・・・?」
「さすがは直線核弾頭と噂されるディムロス中将・・・」
ちなみにこの「直線核弾頭」というのは、元々の「核弾頭」の異名から、情報部が勝手につけた、ディムロスの直線的な性格・作戦を表したあだ名である。

「とにかく! 貴方が勝手にそう思うのは結構ですが、それなら最初からここに来ないで医務室に行けばいいでしょう? 貴方のタチの悪い風邪がうつったら、どうしてくださるんですか。」
いくら押されても、全く引く気ゼロなイクティノスに、ディムロスも半分キレかけたのか、声を少し荒くさせて言った。
「全く・・・さっきから煩い奴だな! もう熱は引いたから問題ない!」
「・・・は? 38度以上の熱がそう簡単に引くわけないでしょう。」
後ろの兵士達は「38度であれだけ大声出せる時点で信じられない」と密かに話し合いながら、最もなイクティノスの言葉にウンウンと肯く。
「どうせまた気がついていないだけ・・・」
「人を馬鹿扱いするのもいい加減にしろ! 本当に前よりもかなり楽になった。」
「・・・そんな訳・・・」
とりあえずディムロスの額に手を当てたイクティノスは、自分の体温と比べてみる。
「本当に引いてる・・・」
イクティノスが手をひきながら、その場でうな垂れたのを見て、部下の兵士達が
「どうして外に出ている間に治るんだろう・・・?」
「あり得ない・・・」
と彼の気持ちを代弁していた。

「言っただろう?」
「・・・本当に貴方人間ですか・・・?」
得意そうなディムロスを少しだけ見た後、またうな垂れてとうとう座り込んでしまったイクティノス。
「だ、大丈夫か?」
「疲れただけです・・・」
どうやらイクティノスはディムロスの非人間的な身体能力を目の辺りにして、一気にテンションが下がってしまったようだ。一向に立ち上がる気配がない。
「疲れたと言っても・・・お前は口しかまともに動かしていないだろうが・・・」
「こっちは最近夜も何かとやることがあって、寝不足なんですよ。それなのに誰かさんが朝っぱらから人の神経を逆撫でするから。」
「先に逆撫でたのはお前だろう。自分のことを棚に上げるな。」
「とにかく・・・」
と、イクティノスはディムロスの服の裾を掴んで立ち上がり、部下のほうを見た。
「少将・・・大丈夫ですか?」
「栄養剤を頂きに医務室まで行ってきます。ちゃんと仕事をしておくこと・・・いいな?」
「は、はい!」
イクティノスはテンションの下がった疲れた顔で命令するだけして、壁に手を当てた状態でそのまま扉から出て行った。

「おい待て。」
完全に忘れられかけているディムロスも急いで情報部から出て、イクティノスのその横まで早足で追いついた。
そして、そのまま壁にしがみつくように歩いていたイクティノスの片手をとって、自分の肩に回させた。
「何するんです。」
「私もアトワイトに治ったと言わなくてはならないからな・・・肩くらい貸してやるよ。」
「誰が肩なんて借りるものか、離れてください。暑苦しい。」
珍しく優しい態度でディムロスがイクティノスに申し出たが、見も蓋もない言葉で(しかも即答)跳ね返される。当然ディムロスの優しい態度はいつもの怒りっぽい態度に変わった。
「・・・お前は・・・人の親切を『暑苦しい』と言うか!」
「貴方の親切なんて不用だと言ったでしょう。同じことを何度も繰り返すなんて、やっぱり馬鹿ですね。」
「お前こそ何度人を馬鹿呼ばわりしたら気が済むんだ!? お前なんかこの場で捨ててやる!」
「捨てられるものなら捨ててみろ。捨てられないくせに・・・」
確かに、「捨てる」と凄んだ割に、肩に回させた手を一向に放さず、むしろ喧嘩しながらでも順調にラディスロウの方向に向かっているディムロス。
「・・・そういうお前も暑苦しいと言っている割に、抵抗はしないんだな。」
「疲れていますからね・・・無駄な労力は使いたくない。」
だから連れて行け、と視線が訴えているのを感じたディムロスは、一つため息をついて、そのまま肩を貸しながら歩いた。
「・・・とにかく医務室へ行くぞ。全く手のかかる奴だな・・・」
「普段手がかかっているのは貴方でしょう?」
「・・・何だと!」


この後、会議室でまだ嘆いているリトラー司令とそれを慰めているカーレルとクレメンテが、口論をしたまま会議室を横切るディムロスとイクティノスの姿を見たらしい・・・。
そして、こっそり情報部では今日のことを「少将には内緒」とか言いながらコンピューターにまとめあげて、楽しんでいたという。

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あとがき

旧サイトのキリ番リクエストで書いたディムイク。

2003年日付未定 旧サイト投稿

 

 

 

 

 

 

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