侍よ、桜のように咲き誇れ




(1)

 帝国との戦いは長期に渡っていた。始まる頃はまだ雪のちらつく日もあったが、その日は城内の広場の一本桜も満開を迎えており、一体いつまで戦うつもりなのかと、桜が拙者たちに伝えているようだった。
 この城には戦わぬ女子供もいる。拙者の子、シュンと外へ釣りに行けなくなってからもう久しい。それでもシュンは文句を言わず同年代の子と遊びながも、いつか拙者のような侍になりたいと、刀の稽古に日々励んでいた。
 そんなシュン達のためにも、この戦いは早く終わらせなければならない――拙者達が選んだ手段は"籠城"だった。

 このまま正面衝突ばかりしていても互いに一歩も譲らない状態。もちろんドマを攻め続ける帝国を憎く思う気持ちもわずかにはあったが、相手方の将軍もまた正々堂々とした武人であり、どこか尊敬の念を抱いていたのかもしれない。堅い籠城によってどう戦ってもドマ城を攻略することは不可能であると相手方に伝われば、停戦の道も開かれるかもしれない――そんな期待もしながら、我々は籠城に最も大切なものである"水"の確保を城内総出で行っていた。
 ドマの水源は城外にある河川からのもので、水源地の近くには帝国の陣地もあった。籠城で一番恐ろしいのは水責めであることは、どこの兵法にも書かれている。恐らく相手方の将軍も、水源地をせき止めるなどの手法で、我々から水を奪おうとするだろう。それに先立って、我々は出来る限りの水を確保すべく、各家庭の風呂釜などに貯水すべく、兵のみならず、女子供も含 めた全員が慌ただしく蛇口という蛇口に走った。

 しかし帝国はその時を攻めた。
 触れれば即死するほどの毒を河川に流し、透明で美しいその水流は、一瞬にして毒の色へと変化した。
 せせらぎにそよぐ水草が枯れ、見張り台にいた拙者が河川の色の変化に気づいた時には、すでに城中に毒が回っていた。
 水に触れた者はもちろん、その近くにいた老人や子供も水から発する毒の空気に触れて倒れていく。拙者達は口元を押さえながら、城内を走った。ほとんどの者が死んでいる――その中には忠誠を誓ったドマの城主や、愛を誓った拙者の妻子もいた。

 生き残りがわずかな状態の中、拙者は他の動ける兵に「生き残った者を頼む」と言う間もなく、怒りのままに帝国陣地へと飛び出していった。
 確かに水責めは籠城相手への最大の兵法ではあるが、毒を用いるのはフェアな方法ではない。戦に携わらない女子供、周囲の動植物もすべて巻き込むこのような卑劣な手段を、敵とは言え尊敬の念もあった帝国軍が手段を使うとは思っていなかった。拙者は目についた帝国兵を斬りつけ、殺していく。今までは彼らにも正義があり、家族があり、たとえ敵でも無闇に命を奪うような真似は避けていた。それができたのは、帝国も同じだったからだ。
 だが帝国が裏切った以上、拙者がこうやって彼らの命を奪うのは当然の行為だ――そんな拙者の目を覚ましてくれたのは、反帝国組織に属する格闘家の男マッシュと、同行する暗殺者を自称する男シャドウだった。



 あのあとマッシュ達の助太刀もあり、拙者達が暴れ相手を引き付けている間にドマの生き残りは避難を終えていた。
 拙者達はドマを後にし、南の森を超え、バレンの滝の山道で立ち止まって振り返り、遠くに見えるドマ城を見つめる拙者にマッシュが声をかけた。

「……大丈夫か? カイエン」

 拙者は、マッシュに声をかけられたにも関わらず、遠くなった故郷から目を離すことができなかった。
 そして思い出す。南の森を歩く中魔列車に迷い込み、そこで拙者は妻子、ミナとシュンが魔列車によって霊界へ旅立つ姿を見送った事を。

――楽しかったわ、ありがとう。
――ボクがママを守るから安心して。

 妻子は笑顔で旅立っていった。二人の笑顔は、拙者から帝国に対する怒りを冷ましてくれた。陣地でマッシュに言われたようにあそこで暴れていても、帝国にわずかな犠牲者を出すだけで、拙者は何の意味もなく死んでいただろう。
 拙者は生きなければならない。死んだ者に報いるためにも。帝国に復讐するためにも。
 だが、同時に思う。あのような理不尽な死を遂げ、本当に二人は幸せだったのだろうか。もしも拙者がもっと早くに異変に気付いていれば、帝国の動向を疑っていれば――自責の念は未だに絶えなかった。

「……マッシュ、家族を失うことは辛いことだ。そう簡単に割り切れるものじゃない」
「カイエン、辛いんだったらここに残……」

 シャドウの言葉を聞いたマッシュの言おうとしていることが分かったからこそ、拙者は首を横に振ってその言葉をさえぎった。

「大丈夫でござる。拙者はまだ、戦える……ミナとシュンのためにも、ドマの皆のためにも、拙者は帝国と戦う道を選ぶでござる」
「カイエン、あのさ」
「それにしても山桜が見事でござるな。ドマの桜も良いものだったが、ここにある自然の桜も悪くないでござるよ」
「……うん、そうだな」

 バレンの滝の山道では、ドマより少し遅い山桜が開花しようとしていた。
 そうだ、シャドウの言うように拙者がいかに後悔しても、時間は前へと進んでいく。拙者も進まねばならない――そう決意し、拙者は踵を返し、バレンの滝の道を再び歩き始めた。



 それからまた時が経った。
 リターナーの中での戦いは、戦いの中でありながらも仲間に恵まれ、拙者の心の中にもわずかな平穏が芽生えようとしていた。時が経ち多くの出会いがあった中で分かったのは、やはり帝国の者もすべてが憎むべき相手ではないということだった。
 例えば帝国を裏切りリターナーの同志となったセリス。最初は拙者もマランダを滅ぼした悪名高き将軍として、たとえ裏切ったとしても信用ならぬと鋭い目を向けていた。セリスもまたそんな拙者に睨み返していたが、時間が経つにつれて、彼女は帝国の人造魔導士であったことから解放され、本来の年相応の少女らしい一面も見せるようになっていた。
 また、ティナという少女は、生まれついて魔導の力を持った帝国の"兵器"だったが、徐々に人間らしい感情を得るようになっていた。
 そんな二人が、逃げ出し鬱屈せず帝国や自分自身と向き合い、前向きにその力を振るう姿を見て、拙者もまた、ドマの人間として死者に報いるだけでなく、未来のために戦わなければならないのかもしれない――そう思った。

 そんな時、帝国側から和平調停の申し出がリターナーに届いた。

 幻獣によってベクタが攻められたことで戦う力を大きくそがれた帝国による事実上の敗北宣言だった。帝国としてもリターナーからもこれ以上のダメージを被り権力を失う前に降りようということなのだろうが、リターナーはそれを受け入れた。その際にドマの人間として共にベクタでの調停会議に出席して欲しいと言われた拙者は、正直に言えば一瞬迷った。本当にこんな形でいとも簡単に終わらせて良いのか、と。
 帝国がドマにしてきたことは、今帝国が幻獣によって受けたダメージとは比べようもないほどのことだ。ここで復讐をやめ戦いを終わらせるなど、犠牲になった彼らは、妻子は報われるのか。だが、会議に出席すると告げたティナの姿を見て、自分も出席する旨を伝えた。
 やはり帝国は許せない。それでも帝国は歩み寄ろうとしており、別の被害者であるティナも受け入れようとしている。拙者も受け入れなければならないと、拙者の中にまだ残る復讐の刃を下す決断をしたのだった。

「ティナ殿は強いでござるな。怖くないのか、かつて自分を利用し続けてきた帝国が」
「……今でも怖い。帝国も、自分の力も。でもおびえているだけじゃダメなのは分かるの。私じゃないとできないことがたくさんあるし、私ももっと知りたいことがある」

 ティナは帝国と同行し、幻獣とも和平を結ぶために大三角島を目指すという。

「カイエンは……家族を殺されたのよね。家族の愛ってどんな感じなのか分からないけど……カイエンがドマの人のことを好きだったのはなんとなく分かるわ」
「ティナ殿のおかげでドマも帝国の占領から開放されたでござる。平和になり落ち着いたら、ティナ殿にもぜひドマを訪れて欲しいでござるよ」
「カイエンは平和になったら、ドマを復興させたいのね」
「もちろんでござる」

 復讐の刃を下し帝国との和平を呑み込むことで、あの日消えてしまったドマの時もまた動かすことができる。ティナとの会話でそう確信した拙者は、かつて帝国の兵だった相手であることも忘れ、仲間として、出発するティナの姿を笑顔で見送った。



「綺麗……!」

 それからわずかな時が経ち、拙者は約束通り、ティナをドマ城へと連れていた――と言いたいところなのだが、世界はまだ平和になっていなかった。
 帝国が、いや、正確にはガストラとケフカは裏切ったのだ。封魔壁の奥に封印された三闘神の像を目覚めさせ、その力で世界を支配すべく、幻獣界ごと大陸を空へ浮かび上がらせた。帝国の将軍であったレオですらその二人によって裏切られ、そして殺された。ベクタではリターナーの幹部の多くも暗殺されたという。残されたのは、何も知らず戸惑うだけの兵ばかりだった。
 彼らを止めなければならない。そしてその先に真の平和がある――そう信じた拙者は、少しでも戦力になるのならと、ドマに残されているだろう武具を求めて、仲間たちを城へと案内したのだ。

 城の広場の桜はあの日と同じく満開を迎えていた。もうあれから一年が経ったのか。拙者は本当に前に進めているのだろうか、と桜の木に心の中で問いかけてみたが、桜は何も答えず、仲間たちは桜の美しさに声をあげていた。

「本来ならばあの河川敷が名所であったが、やはり川の近くの桜は枯れてしまったようでござるな……」
「カイエン……かなしいのか?」

 拙者の言葉に、すぐ横にいたガウが悲しそうな顔で見上げている。
 ガウは直接拙者の身に起きたことを知ったわけではなかったが、バレンの滝から旅立ってすぐに出会ったのもあり、仲間の中でも特に親しい相手だった。実際によくシュンの話をガウにはしていた。シュンよりも年上ではあるが野生で暮らしてきたのもあって言葉や知識はまだ幼いガウを、拙者は新しい息子のように思っていた。

「拙者は大丈夫でござる。むしろこの桜がまた咲いているのを見て、少し元気が出たでござるよ」
「ほんとうか?」
「本当でござる。平和になったらガウ殿にも刀を教えてやるでござるよ」
「ガウ、カタナ必要ない。でもウレシイ」
「そうでござるか?」
「うん。カイエン嬉しい。だからガウもウレシイ」

 そう言って屈託なく笑うガウを見て、少し後ろ向きになりかけた心が前へと向くのが分かった。
 シュンも生きていれば、ガウのように喜んでくれたのかもしれない――ふとそんなことも思ったが、まずは目の前にいるガウや仲間たちを幸せにしたい。

「ならば拙者も嬉しいでござる」

 拙者はガウの頭に手を置き、桜の木を見上げた。拙者と同じくドマの悲劇を見た桜は、それでも変わらずに咲き誇り、それはまるで拙者達の戦いを応援してくれているように見えた。

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(2)

 それからまた、一年程の時が経った。わしは今、ゾゾ山の山頂でひとり隠れるように暮らしていた。
 ケフカは世界を崩壊させた。力及ばなかったわし達が選んだのは"退却"だったが、それすらも叶わず、飛空艇は引き裂かれ、仲間達は空へと投げ出された。その中にはガウやリルムのような子供もいた。
 わしは大怪我を負った状態で気が付いたらゾゾ山にいたが、幸い回復魔法の魔石を所持しており、おかげで数か月で完治し、仲間や世界がどうなったのか確かめるため一度山を降りた。

 青かった海は暗い色をしており、塵が舞って光が屈折しているのか、空が赤い。見える木々は葉をつけておらず、草は枯れ、本当にここは自分の知る世界なのかと思うほどに荒廃していた。まるでこの世の終わりのような光景だったが、わしは毒によってドマが滅びた日の光景を思い出した。一瞬にして多くの命や自然が消えていく姿はあの日と同じだ。

(わしはまた……守れなかったのだな)

 モンスターが現れ、わしは刀を抜き難なく倒す。まだわしには戦う力も残されているらしい。だが、この刀を振るい続けた結果がこれなのだとしたら、モンスターの命を奪うだけのこの行為に何の意味があると言うのか。

 それでも荒野を歩き続けた結果、わしはマランダの町へとたどり着いた。
 それまでの道中で会った行商人は、サウスフィガロの方から来たと言う。わしが世界がどうなっているのか尋ねると、行商人は暗い表情で酷い状態であると答えた。サウスフィガロは何とか活気も戻しているが、それでも生鮮品が手に入らない日々が続いていると言う。そしてモブリズの町はケフカの攻撃を直に受け滅びたそうだ。
 マランダの町はその点ではまだ、目に見える崩壊は見られない。だが、帝国に近く帝国兵も多くいたため、ベクタと共に帝国兵を失った家族も多く、どこか活気を感じられない。

「……また何も持ってきてくれなかったのね」
「どうしたのでござる?」
「ああ、旅の人ですか? お尋ねしたいことが……」

 町で伝書鳩が飛んでいるのを見て、鳩が降りた先で女性に「モブリズのことを知っているか」と尋ねられた。彼女の名はローラ。モブリズに元帝国兵の恋人がおり、崩壊前から伝書鳩で文通してきたという。その帝国兵はわしも会ったことがある青年だった。彼もまた、重い身体をひきずって彼女の身を案じていたのを思い出す。だが、世界が崩壊してから、音信不通になってしまったそうだ。
 同時に、先程聞いた、行商人の話を思い出した。モブリズの村は――わしは疲れきった表情のローラに答えることが出来なかった。

「ごめんなさい……あなたには関係のないことですよね。でももしもモブリズに行くことがあったら……生きて元気ならそれでいいんです」
「承知したでござる……」

 俯いて呟くようなわしの声に、ローラは「ありがとうございます」と泣き出しそうな声で小さく答えた。
 この場にいるのが耐えられなくなったわしは、少し休もうと思い、酒場へと向かった。

「あ、カイエン!? カイエンだ!」
「……!」

 酒場の前で名前を呼ばれそちらを向くと、そこにいたのはガウだった。

「よかった生きてた! カイエンいきてた!」
「おお……! ガウ殿も変わらないでござるな……!」

 そのままガウはわしに向かって突進する勢いで抱き付いてきた。暫くの間、その場で互いの再会を喜ぶ。どこか怪我をしている様子もなく、崩壊前と変わらない元気なガウの様子に、わしは心から安心し喜んだ。流石は野生の子と言うべきか、あのあとずっと仲間を探して世界中を走り回っていたそうだ。

「カイエンいこう! ケフカ倒す!」
「ガウ殿……」
「ガウあきらめない! みんなウレシイ世界もどす!」
「わし……は」
「……カイエン?」

 わしの気乗りしない様子に気づいたガウが、不思議そうな目でわしを見る。ガウはまだ信じているのだ。自分たちがケフカを倒せば、緑がよみがえり、生き残った者がまた幸せな世界を作ることができると。
 だがわしは、ガウのように純粋に信じることができなかった。
 自分達の力で、世界を一日で引き裂いたような相手を倒すことができるのか。
 そもそも他の仲間達は皆生きているのか。
 そして、ケフカを倒したところで、本当に世界は再び平穏になり、緑が蘇るのか。
 桜の花が故郷を飾り、そこで人々が笑顔で暮らす未来を創ることができるのか。
 わしはそのような未来の中に生きる自信を持つことができなかった。
 ガウの変わらないまっすぐな、世界が崩壊するまではわしを前向きにしてくれた瞳が、今は恐ろしい。わしはうつむき視線をそらし、ガウに告げた。

「すまぬガウ殿。わしは……行けないでござる」
「なんで?」
「わしが行ったところで、足を引っ張るだけでござる……故郷も世界も、亡くなったドマの皆の無念も守れなかったわしに、何ができると言うのでござるか」
「……カイエンのふぬけ!」

 わしの言葉に、ガウが激高した。

「カイエンまだ戦える! みんな生きてる! カイエンふぬける、シュン悲しむ!」
「家族を知らぬガウ殿にシュンの気持ちなど分からないでござる! 会ったこともないのに決めつけるな……!」

 感情的に叫んだあと、わしははっと我に返り、ガウを見下ろした。
 ガウはまっすぐわしを見つめたまま瞳を揺らし、口元を震わせていた。

「がう……ウウウ……」
「す、すまぬガウ殿! 言い過ぎたでござる!」
「もういい」

 必死に弁解しようとしたが、ガウは踵を返し、わしに背を向けた。
 背を向ける一瞬に、ガウの瞳から涙が落ちたのが見えた。

「ガウ、強くなる。ケフカ倒すためにもっと強くなる……ごめん、カイエン」
「ガウ殿!」

 そのままガウは振り向くことなく、そのまま町の外へと走って行ってしまった。
 謝るべきはわしの方なのに、それでもわしはガウの背中を追う事すらできなかった。

「もっと強くなる……か」

 世界のために戦い救えなかったのはガウも同じなのに、ガウは心の光を失おうとしない。負けたのならもっと強くなればいい。この強さは、野生の弱肉強食の中で生きてきた上にあるのだろうか――いや、そうではない。

(わしに出来ることは……)

 そんな時頭に浮かんだのは、先程訪れたローラの顔だった。今はやはりガウのように世界を救う自信も気力もないが、それでも誰かを救えるのならば。

「頼む。この空を飛ぶのはいささか辛いかもしれぬが……どうかわしに協力して欲しい」

 わしは道具屋でカゴを購入した後ローラの家の前の伝書鳩の前に戻り、鳩をカゴの中に収めてマランダを後にした。



 その後わしはゾゾ山の奥に戻り、手紙を書きローラ宛のものとして連れ帰った伝書鳩にくくりつけた。自分はモブリズで何とか生きている、いつかマダンダに戻りたいと、モブリズの青年が再び文通を求めているかのように偽った内容だったが、数日後に戻ってきた伝書鳩が持ってきた手紙で、ローラはとても嬉しそうに、モブリズの青年が生きていること、こうしてまた文通できることを綴っていた。

――花は咲かなくとも、せめてこの花で元気になって欲しいでござる。

 そう添えて、赤い造花の花束を彼女へと送り続けた。彼女から来る返事が明らかに元気を取り戻しているのを見て、わしもまた、失いかけていた元気を取り戻そうとしていた。
 そしてある程度経ち、造花の材料を買うついでにローラの家をこっそりと伺った。ローラの家には、わしが作った造花が所狭しと飾られている。近所の者の話によるとローラはとても上機嫌で、まるで今世界が崩壊していることも忘れたかのように笑顔が絶えないと言う。わしは自分の行動によって彼女が救われたのだと少し安心したのだが、立ち去ろうとする時に家から出てきたローラに声をかけられた。

「あら、あなたは。この前も会った旅の方ですよね」
「そうでござったか……?」
「その口調、よく覚えていますわ。ところで見てくださいなこの花。ぜんぶモブリズにいる彼がくれたんですよ。この花のように、彼の愛はずっと枯れないのだと思うと……嬉しくて」
「……枯れない愛、でござるか」

 まるで生花のように顔を近づけ、そこに香りがあるかのようにうっとりと目を細めるローラを見て、わしは先程自分がローラを見て安心しようとしたことを後悔した。
 この花はモブリズの兵が送ったものではない、と言う事は送った張本人であるわしは知っていることだ。そしてモブリズの村は、直接見に行ったわけではないが裁きの光によって崩壊したことも話に聞いている。戻らない伝書鳩はモブリズの青年がもうこの世にいないことを伝えているのに、彼女はわしが青年を偽ったことで、まるで生きているかのように、その夢にしがみついている。
 今は確かに幸せそうでも、もしも彼女が手紙の全てが偽りだったと知れば――きっと手紙が来る前よりも深く絶望するに違いない。
 そして今も、偽りの幸せの中に浸り、この崩壊した世界でどう生きるのか、周りが見えなくなってしまっている。
 彼女をそうしたのはわしであり、そしてわし自身も、彼女との偽りの文通に満足し、前を見ていないことに気付いた。

「旅の方。モブリズに行くことがあったら……ずっと待っているわと彼に伝えてもらえませんか?」
「ローラ殿……いや、了解でござる」

 真実を伝えようにも何を言うべきか考えがまとまらない。しかし気付いてしまった以上、花束を抱えて笑顔で見送るローラの顔など見ることもできず、わしは足早にマランダの町を後にした。



 ゾゾ山に戻ったわしは、早速ローラへと最後の筆を取った。
 今まで嘘をついてきたこと、モブリズの青年はこの世にいないということ。
 真実から目をそらさずに生きて欲しいということ。
 前を向いて生き、再び愛することを思い出して欲しいということ。

 それは筆を取った、わし自身に対するものでもあった。確かにわしは救えなかった。故郷を、家族を、世界を、仲間を。自身の刀が及ばないことを悔やむ気持ちは未だ消えない。ガウ以外の仲間がまだ生きているのかも分からない。仲間がまた揃いケフカを倒した後に世界に緑が戻るのかも分からない。
 だが、それでもわしは行かなければならない。例え未来が見えなくとも、前へ進もうとする仲間がまだいるのならば、生きて愛することをやめない誰かがいるのなら、わしはそれを守りたい。

(崩壊直前の世界……だが夜明けの光は変わらぬ。人の心も……決して変わらぬ)

 朝日と共に伝書鳩が飛び立つのを見送った時、知った声がわしの名を呼んだ。振り返ると、そこにいたのはマッシュ達だった。

「わしも行くでござる! 世界をこのまま放っておけないでござる!」


(3)

 あれからまた時が経った。
 あのあとわしはガウならそこに行くだろうと獣ヶ原へ仲間と共に行き、ガウとも再会することができた。
 あの時のことをわしは謝ったが、ガウは「気にしてない」と笑顔で答えてくれた。仲間が揃い、わしはふと、故郷が今どうなっているのか気になり、そこへ行って欲しいと提案した。

「ドマはほとんど壊れていないみたいだな」
「崩壊前からここは無人ゆえ、ケフカの目には入らなかったのかもしれぬな」

 共にドマ城へと同行してくれたのは、マッシュとシャドウとガウだった。思えばこの三人には特に世話になった気がする。わしがドマから立ち上がり、ここまで前向きに生きてこられたのは仲間達のおかげだとわしは思っていた。

「何か嫌な雰囲気がする……まるで時が止まっているようだ」

 シャドウが広場の桜の木に手を添え、見上げながら言った。
 世界が崩壊し植物が枯れ果てた世界と同じく、桜の木も花はもちろん、葉も一枚すらつけていない。おそらくわしはその時悲しそうな顔をしたのだろう。マッシュがシャドウを諌めた。

「シャドウ……カイエンの前でそんなこと」
「……すまない。そういうつもりで言ったつもりはなかった」
「何かあったのでござるか?」
「いや……気のせいだと、思う」
「ケフカ倒したら、きっとサク!」
「うむ……そうだな」
「なあ、今日はここで泊まろうぜ。もう日も暮れたし、魔物の気配もないし」
「……俺は反対だ。安全とは限らない」
「大丈夫だって! 何かあってもみんながいるから問題ないよ!」

 反対するシャドウに対して、マッシュはいつもの豪快な笑顔で言い切った。

「ガウ! ガウも泊まりたい! おふとん! おふとん!」

 それから飛空艇に戻り他の仲間達と相談したところ、ガウの「お布団」発言に皆興味を持ったのか、賛成多数でドマ城にて一晩を過ごすこととなった。
 ホコリこそ積もってはいたがシャドウの言うように、以前訪れた時と崩壊状況はほとんど変わっておらず、各自手近な部屋で寝ることとなった。
 わしは皆を部屋に案内した後で、ドマ城の展望台へと足を運び、夜の遠景を見つめていた。
 そして思い出す。ドマ城が崩壊した日の事を。それは世界の崩壊の日ではなく、ケフカによって毒が流された日だ。あの時もっとわしが早く異変に気付いていれば――あの時の後悔が、再びよみがえる。

「ミナ、シュン。すまぬ……」

 後悔しても妻も子も戻らない。分かってはいるのだ。だからわしは、前を見て進まなければならない。だからもう振り返らないと誓ったのに、この場所に立つとやはり当時の事が昨日のことのように蘇る。

「……後悔はもうやめると、誓ったではないか」
 
 とりあえず寝て忘れてしまおう――わしは自分の後悔を胸へと抑え込み、踵を返した。途中廊下でシャドウとすれ違う。「眠れないのか」と尋ねると、「いつもの事だ」と短く答えた。

「広場へ行くのでござるか?」
「ああ。あの桜の木は悪くない。あの下にいると自分の心が安らぐ気がするんだ。それに……隣の部屋は俺には煩すぎる」

 シャドウが視線を向けた先の部屋からは、マッシュとガウが、楽しそうにはしゃいでいる声が聞こえてきた。マッシュはあれでも分別のある王家の者だから夜更かしはしないだろうが、それでも二人にあてがった畳の部屋はガウはもちろん、彼にとっても物珍しいものなのだろう。

「そんなに布団は楽しいものでござろうか……」
「あいつらが寝たら俺も休むさ」

 そう言ってシャドウは広場へと消えていった。

 シャドウと別れたわしは自室へと行き、久々に自分の布団で眠りにつく。慣れた布団はゆっくりとわしを、夢の世界へと誘った。



「おはようございます、あなた」
「……ミナ?」

 起き上がると、そこにいたのは妻であるミナの姿だった。これは夢なのか、と驚いて見つめていると、妻は照れ臭そうに笑った。

「どうしたの? 朝ご飯できているわよ」
「あ、ああ……すぐに行くでござる」

 ミナと共に食卓へ行くとシュンがすでに座っており「おはようパパ!」と元気な声が響いた。味噌汁の香りが食欲を刺激し、まるで過去にタイムスリップしたかのようだった。
 妻に促されるまま椅子に座り、朝食を味わう。いつもと変わらぬ妻の味と、団らんの声。例え夢でもなんと幸せな夢だろうか。わしはそのまま、朝食を平らげた。

「ご馳走さま。今日もおいしかったでござる」
「ではお皿、片付けるわね」
「ボクも手伝う!」
「はいはい。じゃあまずは一緒に手を洗いましょうね」

 わしは二人が談笑しながら流し台に皿を運んで行く姿を、食卓に腰かけたまま見守る。妻も子もやはり笑顔が良く似合う。しかし――

「……!」
「ど、どうしたでござる!」

 ミナが蛇口をひねり二人が手を伸ばしたのと同時に二人はそのまま床に倒れ、苦しみだした。
 わしは慌てて駆け寄ったが、既に事切れていた。流し台を見ると、蛇口からは禍々しい色の水が流れていた。

「そ、そんな……ミナ……シュン……」

 何故こんなことになったのか。それはわしが良く知っている。帝国の、ケフカの仕業だ。

「許さんぞ……!」

 わしは床に倒れた二人をそのままに、部屋から飛び出した。

「……ここは」

 ドマ城の廊下に出たはずなのに、わしはいつの間にか、鉄の塊の上にいた。カタンカタンと規則的な音が聞こえ、風を感じる。

「魔列車……でござるか?」

 風上の方を向いてみると、蒸気をあげる列車の先端部が見えた。わしはかつてマッシュ達とそうしたように、先端部へと向かう。しかし気が付いたらわしはプラットホームに立っていた。いつの間に列車から降りたのだろうか。動き始めた列車を見ると、そこには妻と子が乗っていた。

「……ミナ、シュン!」
「あなた……」
「パパ……」

 二人はとても悲しそうな表情で、わしの視界の奥へと消えていく。

「待って……待ってくれ!」
「無駄だよカイエン。ドマのみんなはもう……死んだんだ」

 列車が消えてもなお手を伸ばすわしに、共にいたマッシュが呟いた。

「マッシュ殿、いつの間に」
「悪いのは帝国だ。カイエンは悪くない。守れなかったことなんて気にするなよ」
「ち、違う……わしは……」
「お前も復讐の刃を取るのか。人を殺すのは、守るよりもずっと簡単だ……それでお前の気が済むのならばそうすればいい」
「シャドウ殿……?」

 聞きなれた声、見慣れた顔。なのにどこか違和感がある。だが、二人の慰めているようでどこか非難めいた言葉は、妙に心を重くさせた。この二人は、こんなに冷たい声をしていただろうか。
 わしは二人の言葉に傷つき、そのままプラットホームから走り去ってしまった。魔の森を一人走り、逃げ出した先に光が走った。

「……!」

 光の先にあったのは、ドマの広場の桜の木だった。満開に咲くその桜の花は、今まで見た中でも一番の咲き具合だった。

「カイエン!」
「ガウ……殿?」

 桜の木の下には、ガウがいた。シュンに負けないほどに満面の笑顔でわしを見て、そして手を伸ばした。

「おれ、カイエン好き。カイエンのむすこ」
「……ガウ殿」
「いこう、カイエン。ずっといっしょ」
「違う……」

 おかしい、とわしは直感した。ガウはわしとは違い、ずっと一人でも生きてきた。自分のことを息子だと言って手を伸ばしてくれるような子供ではなく、どちらかと言えば、わしが落ち込んでいた時には叱責するような強い子だ。
 ガウに向かって伸ばしかけた手を止めると、急に周囲が暗くなった。

――ククク……折角苦しまないようにしてやろうとしたのに! 余程貴様は悪夢を望んでいるようだ。
「だ、誰でござる!」
――貴様が私に勝つことはできぬ。家族を失った後悔、己の無力さ、信じたことが全て無になる絶望……それらを捨てきれぬ貴様に、私を倒すことなど不可能だ。
「……!?」

 声の主の正体が分からぬまま光がわしを包み、そしてわしは再び家の食卓に腰かけていた。そして先程と同じように、妻と子が倒れる。今度は止めようとしたが、身体は先程と同じように二人を見守るだけで動かない。外へ出ると、今度は廊下にたくさんの死体が転がっていた。わしが救えなかった者たち――彼らは皆、わしを見つめながら魔列車へと乗り込んでいく。共にプラットホームに立っているマッシュとシャドウも、わしを見るだけで何も言おうともしなかった。ただ、冷たい目でわしを見る。堪らなくなってその場を走りだすと、またしてもわしは食卓に座らされていた。
 何度も何度も、その光景は繰り返された。目の前で何回でも、ミナとシュンは殺され、わしは取り残される。

「もうやめてくれ……わしは、わしは」
「そうだ。全てを諦め私に委ねよ。そうすれば楽になれる。あの世でお前の愛する妻と子が迎え、永遠に幸せになることができる」
「ミナとシュンが……待っている?」
「そう。お前の帰りを待っている。温かな食事と笑顔を用意して、お前が来るのをあの日からずっと……さあ、帰ろう。お前の行くべき場所へ」

 ようやく無限の地獄が終わり、わしは再び闇の中に戻ることができた。この幻は全て夢で、それを見せているのはこの声の主だということは分かっている。だが、わしにはもう抵抗するだけの気力が残されていなかった。
 そして目の前に、声の正体であろう魔物の姿が現れた。わしは目の前の魔物にゆっくり手を伸ばした。

――ダメ! あなた!!!

 わしと魔物の間に割って入るような声がした。姿はないが、知っている――わしが最も愛した女性の声。

「ミナ……?」
――この魔物はアレクソウル。千年前に作られた、心を亡くした魂の集合体……世界の崩壊と共に目覚め、絶望する魂を自分に取り込もうとするモンスターです。従ってはだめよ。
「だがミナ……わしは」
――私が愛したカイエン・ガラモンドは、頑固で、堅物で、機械に弱くて。でもいつでも前向きで、みんなの手本となる人でした。負けてもまた立ち上がることができる、強い人……家族を愛してくれる、優しい人。

 その声と共に、わしの前にミナの姿が現れ、アレクソウルの前に立ち憚った。

「消えなさい! この人はドマが誇る侍であり、私の愛する夫! あなたなんかに渡したりはしない!」
「ミナ……!」

 ミナの声に、姿に、わしは自分の前向きであろうとした心が、奥底から湧き上がってくるのを感じた。

「そうだよパパ! 負けないで! それにパパは一人じゃないよ! よく見て!」
「シュン……!」

 ミナの隣にシュンが現れ、わしは立ち上がり、目を閉ざし意識を集中させた。

――カイエン返せ! カイエンがんばってた! つらくても、がんばってた! お前分かってない!

 ドマ城の王座の前で、アレクソウルと戦っているガウの姿が見える。ガウと共に戦っているのは、マッシュとシャドウだった。
 三人とも戦い慣れた手練れではあるが、アレクソウルの姿は何度も彼らの前から消え去り、それによって翻弄されているようだった。

「みんなあなたのためにここまで来てくれたのよ……いい仲間に出会えたのね」
「ミナ……」
「アレクソウルは人に乗り移り続け、絶望する魂を食らうことで生き永らえるモンスターです。でも、あなたならきっと」
「パパ! ボクたちもついているよ!」
「シュン」

 妻と子の言葉に、わしは――拙者は、さらに意識を集中させた。

(マッシュ殿にシャドウ殿……そしてガウ殿。迷惑をかけたでござる……拙者も、助太刀するでござる!)

 拙者は、自分自身に乗り移るアレクソウルの本隊を見つけ出し、いつの間にか腰元に下げられていた刀に手をかけた。

(分かる……この刀は拙者自身の心。もう迷わないでござる……例えこの身この力及ばぬとも、最後まで拙者は世界のため、仲間のために戦い抜くでござる!)

――カイエン! カイエンなのか!?
「何だと……身体が……!」

 ここは拙者の夢であり、拙者が心から望んだことで、戦っている仲間達に声が届いたようだった。また、拙者がアレクソウルを見つけ出したことで、その本体はマッシュ達の前に現れていた。

――そうだカイエン! 負けるな! こんなやつにまけるな!
――戻ってこい。お前はまだ、闇の世界に堕ちるような男じゃないはずだ……!
――スキはオレが作ってやる! うおおおおお夢幻闘舞!!!!!

 マッシュが現れたアレクソウルに組み付き、素早くラッシュをしかける。
 そしてそのスキに、拙者はアレクソウルの前へと立ち、刀を抜いた。

「千年前の悪夢よ、成仏しあるべき場所へと還るがいい! ……必殺剣! 断!!!」

 抜いた刀によって、アレクソウルの身体が真っ二つとなった。

「馬鹿……な……」

 信じられないと言う静かな断末魔と共に、アレクソウルは霧となって消えた。





「本当に迷惑をかけたでござる……かたじけない」

 あれから拙者が目を覚ますと、そこには「やりきった」という様子のマッシュ達がいた。壁には夢の中で抜いた刀、"正宗"が立てかけられており、夢ではなかったのだと実感することが出来た。
 そして他の仲間はと言うと、ただ普通に一晩寝泊まりしただけの記憶しかなく、マッシュやガウが話をしてもただただ驚いている様子だった。どうやらアレクソウルは眠った者の中から食らう魂を決めていたらしく、その時に偶然起きていたマッシュ達だけが異変に気付いたようだ。
 そしてドマ城を後にしようと他の仲間が準備する中で、拙者は改めて枯れたままの桜の木の下にいたマッシュ達に礼を述べた。

「いいってことよ。俺こそカイエンの気持ちも分からずにここで泊まろうとか言って悪かった……ごめん」
「良いのでござる。おかげで拙者は今、晴れやかな気分でござる」

 ミナとシュンは確かにあの日、無念を無念と思う暇もなく殺された。そして拙者があの時もっと早くに気付いていれば、というのもひとつの可能性ではある。
 だが、いくら悔やんでも、もうミナとシュンは戻らない。例えケフカを倒したとしても、二人の心は変わらない。拙者に出来ることは、拙者自身が妻と子を信じ、忘れず、そして前に進むことのみ。

「そうだカイエン。おれ、夢の中、シュンに会った」
「シュンに……でござるか?」
「シュンいいやつ。カイエンの大事なむすこ。でもおれ、シュンじゃないけどカイエンだいじ。カイエンはガウのだいじな仲間!」
「仲間……そうでござるな!」
「いこう、カイエン! ガウたち、ここの桜、ぜったい咲かせる!」

 ガウは屈託ない笑顔でそう言って我先にと飛空艇へと走りこんだ。

「咲かせる、か。目出度い夢だな……だが昨日の嫌な雰囲気は感じない。俺もこの桜がまた咲くような気がするぜ」
「じゃあやっぱり俺達頑張らないといけないじゃん! な、カイエン?」
「そうでござるな」

 拙者は桜の木を見上げ、腰に下げた正宗の柄にそっと触れる。
 あの日時が止まってしまったドマ城。失った妻と子。崩壊した世界。咲かなくなった桜の木――拙者は確かに多くの者を守ることができなかったが、それでもまだ、絶望する者がいない限り拙者は戦う。かつて愛した者に、誇れる拙者となるために。

「拙者の迷いは晴れた。行ってくるでござる……!」

 愛した者がこの心にある限り、前に進むことが出来る。拙者は、仲間達と共に故郷を後にした。

 

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あとがき

カイエンについては某有名なコピペ長文を見て好きになったので、かなりそれに影響された小説になりました。夢イベントのカイエン視点はこんな感じだったら最高に目覚められない悪夢だなぁと思いながら考えたんですが、もっとホラーっぽく書きたかったです(実力不足)。

2018年5月1日 pixiv投稿

 

 

 

 

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